12.29.2015

聖書


末井昭
第1回 世間がひっくり返る

『自殺』の末井昭さん新連載。「みんな、何を指針にして生きているんだろう?」。聖書に出会って、ものの見方がひっくり返ったという末井昭さん。信仰を持っているわけではない末井さんは、聖書を「実用書」として読んでいると言います。聖書に書かれているように生活したいと思うが、できない自分。日常と聖書との往復で見えてくるものとは。初回はイエスの方舟事件と、「こんな世の中、ぶっ壊れてしまえ」と思っていたことが、頭の中で本当に起こってしまったこと。聖書を生涯読まないかもしれない、信仰をもたない方々へ贈ります。

僕は世間話というものが苦手です。たとえば、イスラム国の話から東京もテロの対象になるのかという話になり、国際情勢の話が続くのかなと思っていたら、僕の一番苦手な自分たちの子供の話になり、しまいには飼っている猫の話になったり、話題はコロコロと変わっていきます。

僕は宴会などのとき、世間話にうまく入っていけなかったので、黙っていることが多く、無口だと思われていたと思いますが、心の中では「お前らバカか。クソ面白くもない話を延々しやがって」と罵声を浴びせながら、その宴会を呪っていました。無口でも、自意識だけは人一倍強かったのです。

先日ある宴会で、〝少年A〟が書いた本『絶歌』が面白かったと言ったら、とたんに場がシーンとなり、誰かが「人を殺しておいて本出すってのはねぇ……」と言ったあと、その話は途切れてしまいました。僕は『絶歌』を読んだばかりだったので、〝少年A〟とこの本について人に話したかったのですが、ここでは話さないほうがいいと思ってやめました。世間話では、世間の常識から外れたことを言うと拒否反応が出ます。当たり障りのないことしか言ってはいけないのです。

7.27.2015

『きみの町で』(重松清さん著)ミロコマチコさん原画展全国巡回地図


『きみの町で』(重松清さん著)
ミロコマチコさん原画展 
全国巡回地図

きみの町で

あの町と、この町、あの時と、いまは、つながっている。


全国の町で、移動展示をつづけている『きみの町で』展が、青山・表参道の山陽堂書店さんで、2015年7月27日から開催します。
http://sanyodo-shoten.co.jp/gallery/schedule.html

★山陽堂書店さんで、ミロコマチコさんサイン会があります。
7月28日(火)19時~20時
ミロコさんとゆっくりお話できる機会です。ぜひ遊びに来て下さい。

これまでの全国巡回地図を、営業部の(橋)が作りました。
開催くださった書店さんに感謝しています。
山陽堂書店さんに地図を貼っていますので、ぜひご覧ください。



※クリックで拡大



★全国巡回振り返り
(※リンク先でそれぞれの原画展の詳細が見られます)

パルコブックセンター吉祥寺店
2013年11月

リブロ福岡天神店
2014年2月3日~3月4日

学芸大学SUNNY BOY BOOKS
2014年3月
◆2014年3月16日/ライブペインティング

オリオン書房ノルテ店(立川)
2014年4月

くまざわ書店相模大野店(神奈川)
2014年6月

FOLK old bookstore(大阪)
2014年7月
◆2014年7月26日/サイン会

ジュンク堂書店難波店
2014年9月17日~10月13日

イハラ・ハートショップ(和歌山)
2014年11月1日~30日

カネイリミュージアムショップ6・あゆみブックス仙台一番町店
2015年2月7日~22日

日田シネマテーク・リベルテ(大分)
2015年3月14日~29日

ソリッド&リキッド リーディングスタイル町田
2015年4月

正文館書店知立八ッ田店(愛知)
2015年7月4日~20日

山陽堂書店(青山・表参道)
2015年7月27日~8月8日

5.28.2015

断片 特設ページ


岸政彦『断片的なものの社会学』特設ページ



紀伊國屋じんぶん大賞2016、第1位!
祝・韓国語版刊行!

1.30.2015

『自殺』トークイベントのご案内|あゆみブックス仙台一番町店

トークイベントのご案内
2015年2日21日(土)
あゆみブックス仙台一番町店にて開催 ☆終了しました

笑って脱力して、きっと死ぬのが
バカらしくなります。

末井昭さんと「自殺」の話 ~仙台篇~
ゲスト:岩崎航さん

 

母親のダイナマイト心中から約60年。愛人の自殺未遂、3億の借金、自身のがん――衝撃の半生と自殺者への想いを、ひょうひょうと丸裸で綴った『自殺』が反響を呼び、講談社エッセイ賞を受賞した末井昭さん。

『自殺』は、2011年の東日本大震災に後押しされるように、書き始めた本でした。

「こんなやつでも生きていけるんだ、と笑ってもらえれば」と面白い自殺の本を目指した末井さんですが、執筆中に読んで励まされたと言う本が、岩崎航さんの『点滴ポール』(写真・齋藤陽道さん、ナナロク社)です。

絶望の中の希望を見つけ出すこと。ネガティブなことをポジティブに変えてゆく力って、どうすれば湧いてくるのでしょう。

「「今」が自分にとって一番の時だ」と綴る岩崎さんを特別ゲストとして迎え、末井さんが、肩の力を抜いて、楽しく真面目に「自殺」について語ります。

日時:2015年2日21日(土)15時~(14時半開場)
会場:あゆみブックス仙台一番町店
参加費:1000円(税込)1ドリンク、オリジナル特典付き
定員:25名
ご予約・お問合せ:あゆみブックス仙台一番町店カウンター
電話 022-211-6961


末井昭(すえい・あきら)
1948年、岡山県生まれ。工員、キャバレーの看板描き、イラストレーターなどを経て、セルフ出版(現・白夜書房)の設立に参加。『ウィークエンドスーパー』、『写真時代』、『パチンコ必勝ガイド』などの雑誌を創刊。2012年に白夜書房を退社、現在はフリーで編集、執筆活動を行う。平成歌謡バンド・ペーソスのテナー・サックスを担当。主な著書に『素敵なダイナマイトスキャンダル』(北宋社→角川文庫→ちくま文庫→復刊ドットコム)、『絶対毎日スエイ日記』(アートン)、『純粋力』(ビジネス社)、『自殺』(朝日出版社)などがある。2014年、『自殺』で第30回講談社エッセイ賞受賞。


岩崎航(いわさき・わたる)
1976年、仙台市生まれ。詩人。本名は岩崎稔。3歳の頃に進行性筋ジストロフィーを発症。17歳のとき、自分の未来に絶望して死のうとまで考えたが、「病をふくめてのありのままの姿」で自分の人生を生きようと思いを定める。現在は胃ろうからの経管栄養と人工呼吸器を使用し、仙台市内の自宅で暮らしている。20代半ばから詩の創作を始め、2006年に『五行歌集 青の航』を自主制作。
2013年、『点滴ポール 生き抜くという旗印』(ナナロク社)を刊行。谷川俊太郎氏、糸井重里氏ほか、多くの賞賛を受ける。
航の SKY NOTE http://skynote21.jugem.jp/



絵:南伸坊       

1.15.2015

伊勢崎賢治「本当の戦争の話をしよう」まえがき+目次

まえがき+目次  
伊勢崎賢治さんの『本当の戦争の話をしよう ――世界の「対立」を仕切る』を1月15日に刊行いたしました。伊勢崎さんが「気がついたときには、こちらが丸裸にされていた」と語る5日間の講義録。扱うテーマは「テロリスト」との戦い、「自衛」と戦争の関係、国連の武力行使のジレンマ、著者がかかわった国での核の問題についてなど。現場の迫力に触れ、日本内部の視点をちょっと抜け出て、生涯出会うことのない異なる価値観と出会う時、何がもたらされるか。それを体感できる講義を目指しました。「まえがき」と目次を公開いたします。全国の書店さんで、ぜひお手に取ってみてください。(編集部)

まえがき

2012年1月8日、日曜日。

雪がチラホラ降るなか、初めて訪れた福島県立福島高等学校は、東日本大震災で2つの校舎が使用不可能になっていた。

底冷えのするプレハブ仮設校舎に入り、足を床に付けるたびに周囲の壁、天井が震えるあの独特の感触のなか、休日の誰もいない静まりかえった廊下をしばらくたどると、かすかにざわめきが聞こえて来る。ドアをあけると、総勢18名の高校2年生。

このときの僕は、ガチガチに緊張していたと思う。

相手は多感な年頃である。子供には、理想を思い描き、没頭する特権がある。そうであればこそ、冷たい現実のなかで彼らに知らせなくていいものは、確かに存在する。2人の息子の親として、そう思う。

本書の企画は、僕の講義の相手をずっと探していた。福島高校になった経緯は、あとがきに譲るが、僕の経験のどこまでを知らせていいのか。実は、この初日までまったく焦点が定まっていなかったのである。

1.13.2015

伊勢崎賢治「本当の戦争の話をしよう」第四回

第4回
伊勢崎賢治さんの『本当の戦争の話をしよう ――世界の「対立」を仕切る』を1月15日に刊行します。伊勢崎さんが「気がついたときには、こちらが丸裸にされていた」と語る5日間の講義録。引き続き、1章の一部をお届けします。2001年の9.11と、2011年5月2日のアメリカの特殊部隊によるオサマ・ビンラディン殺害。荒唐無稽だと思うかもしれないけれど、設定として考えてみましょう。「もしも歌舞伎町でビンラディンが殺害されたとしたら」。(編集部)

1章
もしもビンラディンが
新宿歌舞伎町で
殺害されたとしたら(その2)

もしも歌舞伎町でビンラディンが殺害されたとしたら

テロリストとの戦いのきっかけとなった9・11に話を戻しますが、この事件が起きたとき、繰り返し流れたメディアの映像で、みなさんの印象にいちばん残っているのは、ワールドトレードセンターの崩壊でしょう。ちなみに、設計した人って、誰か知ってる?

確か日系人って。

そう、ミノル・ヤマサキという日系アメリカ人の建築家です。ところで、9・11は自作自演である、つまりアメリカ自身がやったんじゃないかっていう陰謀説があるのを知っていますか?

ビルの崩れ方が異常だったとか、突っ込む前に下から爆風が出ていたとか、聞いたことがあります。

確かに予想外な崩れ方でした。旅客機のジェット燃料の火災の高熱で、ビルの主構造である鉄骨の強度が落ちたとか、旅客機が高速でぶつかった衝撃波が共鳴して、鉄骨構造を一気にバラバラにしたとか、いろいろなことがいわれています。

僕はイスラムの世界で仕事することが多いのですが、民衆レベルでは陰謀説が根強くて、今でもさかんです。アルカイダは反米とともに激しい反ユダヤを掲げているから、アメリカを本気で怒らせるためにイスラエル諜報機関が仕組んだとか。陰謀説って面白いし、人を魅きつけるものです。戦争は、軍産複合体など一部の人たちを儲けさせるし、ナショナリズムも高揚する。それを利用したい政治家もいるはずです。まあ、陰謀説はちょっと置いておいて、9・11が起きた背景を考えてみましょう。

1.08.2015

伊勢崎賢治『本当の戦争の話をしよう』第三回

第3回
伊勢崎賢治さんの『本当の戦争の話をしよう ――世界の「対立」を仕切る』を1月15日に刊行します。伊勢崎さんが「気がついたときには、こちらが丸裸にされていた」と語る5日間の講義録。今回は1章の一部をお届けします。自己紹介も兼ねて、初めて暮らした外国、インドのこと。スラムに入り浸り、住民運動を組織し、国外退去命令をくらって追い出される。その後、「紛争屋」となり、アメリカの戦争に巻き込まれてゆくまで。(編集部)

1章
もしもビンラディンが
新宿歌舞伎町で
殺害されたとしたら(その1)

23歳でインドのスラムに入り浸る

僕が最初に行った外国、インドのことから話します。僕は、高校を卒業して早稲田大学の建築学科に入り、大学院に進みました。小さいころから芸術家志向で、画家か建築家のどちらかになりたかったのですが、人生を狂わせてくれたのが(笑)、このインドでした。

建築を学ぶ学生としては、僕の美的感覚はちょっと変わっていて、教科書に載っているような世界の名だたる建築家がデザインしたものを、どうしても美しいと感じられなかったんです。なんかわざとらしいと……わざとって、デザインだからどうしようもないんだけどね。
じゃあ自分は何をしたいんだろうって悶々としているとき、ある写真集に衝撃を受けたのです。それはアジアの貧民街、スラムへの潜入写真でした。

想像つくかな。何のデザインもなく、それぞれの住民が生存ギリギリの財力で、でも自由に建てる掘っ建て小屋がいっぱい、何層にも重なってゴワーっと密集している。混沌の美というか、不連続な統一感というか、全体として醸し出す強烈なエネルギーを感じたのです。

でも、そういうところは犯罪の巣窟であり、社会の底辺、構造的暴力の犠牲者たちが住むところでもある。まじめな社会問題として見なければならないのですが、不謹慎にも僕は、ひとつの造形として惚れちゃったんです。で、この場所に行きたくて、どうしようもなくなった。そんなとき、たまたま大学の掲示板に貼ってあったインド政府の国費留学生募集に目がとまり、試験を受けてみたら受かっちゃったんですね。

教育大国インドには、多くの大学があります。大学の一覧から、カリキュラムにslum、そしてfield work とあるものを目を凝らして探した。そして、インド最大の商都ボンベイ(現在はムンバイ)にあるボンベイ大学のソーシャルワーク学科を見つけました。
日本でソーシャルワークというと、福祉事業をイメージするかもしれないけれど、ここでは違います。

社会の構造的な問題を研究するのは社会学で、いわゆる社会問題の被害を被っている人たちを研究対象にしますね。ソーシャルワークというのは、それだけにとどまらず、そういう人たち(生きるのに忙し過ぎて自分たちを苦しめる「構造」に気がつかない人たち)を「覚醒」させ、そして横に連帯させて大きな発言力にする。日本の全共闘世代の言葉でいうと、オルグ(組織化)しちゃう。それでもって大規模なデモなどを組織して、体制側を威嚇し、譲歩を引き出す。
まあ、底辺の力で社会をチェンジしようと、社会運動や反体制運動を志向する、ちょっと物騒な学問領域です。

インドは、ガンディーの非暴力・不服従運動を生み出し、イギリスの植民地支配からの独立を果たし、その後、冷戦下には東西いずれの陣営にも属さず、アジア、アフリカの旧植民地を束ねていった非同盟主義を主導しました。ある意味、弱い者の側に立った、世界のモラルをリードしてきた国だといえます。

でも一方で、カースト制があり、人間に「クラス=階級」を設ける差別が歴史的に慣習として浸透している。そして宗教間対立、少数民族の分離独立運動が複雑に絡み合い、社会の構造が、多くの人々を犠牲にしている国でもあります。
そういう問題を解決する努力と知性が足りないのか、というふうに考えちゃうけど、否。問題が多い分、それらをなんとかしようとする研究、学問、そして運動が発達するんだ。